自筆証書遺言書保管制度⁠|法務局に預ける方法

自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)は、法務局に預けることができます。なくしたり書き換えられたりする心配が減り、亡くなった後の家庭裁判所の検認も要りません。法務省の案内にもとづいて、預け方の決まりと、相続人が後でする手続きを解説します。

この記事の要点

  • 保管の申請の手数料は、保管の年数にかかわらず遺言書1通につき3,900円(収入印紙)です(法務省)。
  • 用紙はA4、余白は上5mm・下10mm・左20mm・右5mm以上、片面だけに書き、ホチキスで綴じず封筒にも入れません(法務省)。
  • 法務局に保管されている遺言書は、家庭裁判所の検認が不要です(遺言書保管法11条)。
  • 亡くなった後、相続人は遺言書情報証明書(1通1,400円)を請求して、相続の手続きに使います。

この記事で分かる次の行動:様式どおりに書き、必要書類をそろえて法務局に予約する(相続人は証明書を請求)

1. 制度でできること

  • 自分で書いた遺言書を、法務局(遺言書保管所)に預けられる
  • 法務局に保管されている遺言書は、家庭裁判所の検認が要らない(遺言書保管法11条。自宅保管の遺言書の検認は遺言書の検認)
  • 亡くなった後、指定した人に遺言書が保管されていることを知らせる通知を受けられる

遺言書保管所は、内容に関する相談には応じません(法務省)。どんな内容にするかは、遺言を書く人が決めます。

2. 遺言書の様式の決まり(法務省の案内)

項目決まり
用紙A4サイズ
余白上部5mm、下部10mm、左20mm、右5mm以上。余白に文字がはみ出すと書き直しが必要
書く面片面のみ(財産目録も同じ)
ページ番号各ページの余白内に「1/2、2/2」のように総ページ数が分かる形で書く(1枚なら不要)
綴じ方ホチキスなどで綴じず、全ページをバラバラのまま提出。封筒も不要
自書遺言書の全文・日付・氏名を遺言者本人が自書し、押印する
財産目録自書しなくてよい(パソコンや、登記事項証明書・通帳のコピーでも可)。その場合は目録の全てのページに署名押印が必要

ここでいう「財産目録」は、遺言書に添付する目録です。相続人どうしで遺産を整理する相続の財産目録とは別のものです。

3. 保管の申請と手数料(法務省の案内)

手続き手数料する人
遺言書の保管の申請1件(遺言書1通)につき3,900円遺言者
遺言書情報証明書の交付請求1通につき1,400円関係相続人等
遺言書保管事実証明書の交付請求1通につき800円関係相続人等など
遺言書の閲覧(モニター)1回1,400円遺言者・関係相続人等
遺言書の閲覧(原本)1回1,700円遺言者・関係相続人等

手数料は収入印紙で納めます。保管の申請の撤回や、住所などの変更の届出には手数料がかかりません。保管の申請で持参するのは、遺言書・保管申請書・住民票の写し等(本籍と筆頭者の記載があり、マイナンバーや住民票コードの記載がないもの)・顔写真付きの官公署発行の身分証明書・手数料の収入印紙です(法務省)。1つでも忘れると手続ができません。保管の申請ができるのは遺言者本人のみで、代理人や郵送では申請できません。手続きには予約が必須です(法務省)。管轄の法務局は法務省のページで確かめられます。

4. 亡くなったときの通知(法務省の案内)

  • 指定者通知:遺言者があらかじめ希望した場合、法務局が遺言者の死亡を確認したときに、遺言者が指定した人に、遺言書が保管されていることが通知されます。令和5年10月2日から、指定できる人の範囲が広がり、3名まで指定できるようになりました。
  • 関係遺言書保管通知:遺言者の死亡後、相続人などの誰かが遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けると、ほかの関係相続人等に、遺言書が保管されていることが通知されます。

5. 相続人がすること

  1. 遺言書が預けられているか分からないときは、法務局に遺言書保管事実証明書を請求して確かめる
  2. 預けられていれば、遺言書情報証明書を請求する(相続登記や預金の手続きで、遺言書の代わりに使う)
  3. 検認は要らないため、そのまま遺言にもとづく手続きに進む

遺言で取り分が少なかった相続人には、遺留分の請求ができる場合があります(遺留分侵害額請求の期限)。

相続のこよみの遺産分割協議書の作成ツールは、遺言書があり、その内容にもとづいて手続きをする場合には対応していません。このような場合は、一般的には専門家への相談が考えられます。

6. 注意点

  • 遺言書保管所は内容に関する相談には応じません(法務省)。預けたことで遺言の内容が有効と認められるわけではないため、内容に不安があるときは、弁護士や公証役場に相談しましょう。
  • 公正証書遺言(公証役場で作る遺言)も検認が要りません(民法1004条2項)。どちらにするかは、費用や手間を比べて選びましょう。

次の一歩

よくある質問

法務局に遺言書を預ける手数料はいくらですか?

保管の申請は、保管の年数にかかわらず遺言書1通につき3,900円です。収入印紙で納めます(法務省)。

法務局に預けた遺言書も検認が必要ですか?

不要です。民法1004条1項(検認)は、遺言書保管所に保管されている遺言書には適用されません(遺言書保管法11条)。

パソコンで書いた遺言書を預けられますか?

遺言書の全文・日付・氏名は遺言者本人が自書する必要があります。添付する財産目録はパソコンで作ったものでもよく、その場合は目録の全てのページに署名押印が必要です(法務省)。

亡くなったことを家族に知らせてもらえますか?

遺言者が希望して指定した人(3名まで)に、法務局が遺言者の死亡を確認したときに通知されます(指定者通知)。指定しなければこの通知は送られません(法務省)。

相続人は何を取ればいいですか?

遺言書情報証明書(1通1,400円)です。預けられているか分からないときは、遺言書保管事実証明書(1通800円)で確かめられます(法務省)。

出典(一次情報)

いずれも2026年10月15日・16日に確認しました。

この記事は、2026年10月16日時点の法令と公式の情報にもとづく一般的な説明で、法律・税務の助言ではありません。個別の事情(相続人の確定、期限の起算点、税額など)によって結論が変わることがあります。具体的な判断は、家庭裁判所・税務署・法務局の窓口、または弁護士・税理士・司法書士にご相談ください。

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確認者:板野 克基(株式会社ブライトアセット 代表取締役) 最終更新日:2026年10月16日(条文はe-Gov法令検索で同日に確認) 編集方針と確認の手順