相続関係説明図の書き方と記載例|法定相続情報一覧図との違い
相続関係説明図は、亡くなった人と相続人の関係を図にしたものです。相続登記の申請で出すと、添付した戸籍の証明書の原本を返してもらえます。法務局の記載例にもとづく書き方を図で示し、よく似た「法定相続情報一覧図」との違いを解説します。
この記事の要点
- 相続関係説明図を相続登記で出すと、添付した戸籍の証明書の原本を返してもらえます(法務局記載例の注16)。
- 法務局の記載例では、被相続人は最後の住所・死亡日・氏名、不動産を取得する人は住所・出生日・氏名と(相続人)、取得しない人は氏名と(分割)だけを書きます(注17)。
- 法定相続分で全員が取得するときは、全員が(相続人)です(法務局の免税用の記載例)。
- 法定相続情報一覧図は、登記官が確認して認証文つきの写しを無料で交付する別の書類で、預金の払戻しや相続税の申告などにも使えます。
1. 相続関係説明図とは・何に使うか
相続登記の申請では、被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍の証明書や、相続人全員の戸籍の証明書を添付します。これらは束になり、預金の手続きなど、ほかの手続きでも使いたいものです。
法務局の記載例では、「相続関係説明図」を提出した場合には、登記原因証明情報として出した戸籍の証明書を、登記の調査が終わった後に返すことができるとされています(注16。原本還付の手続)。法務局の「申請手続のご案内(遺産分割協議編)」でも、この場合は戸籍の証明書のコピーを作って出す必要はないと案内されています。
なお、遺産分割協議書は対象外で、原本を返してもらうには別にその謄本(写し)を出す必要があります(注6)。
2. 記載例:遺産分割で1人が取得する場合
妻と子2人で遺産分割協議をし、長男が不動産を取得した場合です。法務局の記載例(001470094 の4ページ)と同じ書き方で、住所・氏名・日付だけを架空のものにしています。
法務局の記載例には「これは、記載例です。この記載例を参考に、相続の結果に応じて作成してください」とあります。
3. 書く項目と書き方
| 人 | 書くこと(記載例) | 見る書類 |
|---|---|---|
| 表題 | 「被相続人 ○○ 相続関係説明図」 | ― |
| 被相続人 | 住所(最後の住所)、死亡年月日、(被相続人)、氏名 | 住民票の除票(または戸籍の附票)、戸籍(除籍) |
| 不動産を取得する人 | 住所、出生年月日、(相続人)、氏名 | 住民票の写し、戸籍 |
| 不動産を取得しない人 | 氏名、(分割) | 戸籍、遺産分割協議書 |
- 「(分割)」の意味:記載例の注17では、遺産分割協議の結果、相続財産中の不動産を相続しなかったという意味だとされています。
- 線の引き方:記載例では、被相続人と配偶者を縦の線で結び、そこから子へ線を引いています。
- 続柄:法務局の相続登記の記載例には、(妻)(長男)のような続柄の記載はありません。一方、法務局の法定相続情報一覧図の記載例では(妻)(長女)のように続柄を書いており、説明図にも続柄を書き添えることがあります。書く場合は戸籍の記載に合わせます。
- 記載例にない形:代襲相続、数次相続(相続登記の前に相続人も亡くなった)、相続放棄をした人がいる場合などは、記載例にない書き方になります。申請先の法務局で確かめましょう。
3-2. ほかの形の例(全員取得・配偶者だけ・子だけ)
法定相続分で全員が取得する場合は、法務局の免税用の記載例(相続人全員が持分で取得する例)のように、全員について住所・出生年月日を書き、全員が(相続人)になります。
相続人が1人だけの場合も、同じ書き方を当てはめると次のようになります(法務局の記載例そのものではなく、記載例の書き方を当てはめた例です)。
4. 法定相続情報一覧図との違い
「法定相続情報一覧図」は、平成29年5月に始まった法定相続情報証明制度で使う書類です。相続人が一覧図と戸籍の束を登記所に出し、登記官が民法の相続関係と合っているかを確かめたうえで、認証文をつけた写しを無料で交付します(法務局)。
| 相続関係説明図 | 法定相続情報一覧図 | |
|---|---|---|
| 作る人 | 自分(申請する相続人など) | 自分で作り、登記所に申し出る |
| 公的な証明 | なし(登記の添付書類の説明) | 登記官が確認し、認証文つきの写しを交付(無料) |
| 主な使い道 | 相続登記で戸籍の原本を返してもらう | 相続登記、預金の払戻し、相続税の申告、年金などの手続き(提出先に確認) |
| 遺産分割の結果 | (分割)などで書く | 書かない。相続放棄や分割で相続しない人も、そのまま載る |
| 相続人の住所 | 記載例では、不動産を取得する人に書く | 書くかは任意。書くと、その後の手続きで住民票の写しが不要になることがある |
| 続柄 | 相続登記の記載例にはない(書き添えることはある) | 戸籍の続柄のほか「子」も選べる(「子」だと相続税の申告など使えない手続きあり) |
| 相続登記での扱い | 戸籍の原本が返ってくる(戸籍の束は出す) | 写しを出すか、法定相続情報番号を申請書に書くと、戸籍の証明書の添付に代えられる |
一覧図の申出先は、被相続人の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかを管轄する登記所です。一覧図はA4縦の用紙で、下から約5cmは認証文のために空けるよう案内されています。法定相続情報番号は、不動産登記以外の手続きでは使えません(いずれも法務局)。
5. どちらを使うか
- 不動産の相続登記だけをする:相続関係説明図を出せば、戸籍の原本を返してもらえます。
- 預金・証券・年金など、手続きが多い:法定相続情報一覧図の写しがあれば、提出先ごとに戸籍の束を出し直さずにすむことがあります。使えるかどうかは、提出先に確かめましょう。
- 両方使うこともできます。一覧図で戸籍の添付に代えたうえで、遺産分割の結果は遺産分割協議書で示します。
6. 作る前に確認したいこと
- 相続人の確定:戸籍で、相続人が誰かを確かめてから作ります(相続で必要な戸籍の集め方、法定相続分の一覧表)。
- 協議書の内容:誰が不動産を取得するかは、遺産分割協議書の内容と一致させます(遺産分割協議書の書き方)。
- 申請書:説明図は申請書と一緒に出します(相続登記の申請書の書き方)。
次の一歩
協議書の入力から、法務局の記載例の形の相続関係説明図と相続登記の申請書まで作れます。見本は無料で最後まで作って確かめられ、保存は9,800円プラン(買い切り・自動更新なし。保存後1年間は修正できます)。
見本を作る(無料)→無料遺産分割協議書のひな形(Word)法務局の記載例の形。不動産と預貯金の欄つき。
ダウンロード →よくある質問
相続関係説明図は手書きでもいいですか?
法務局の記載例は「この記載例を参考に、相続の結果に応じて作成してください」としており、作り方を手書きかパソコンかで分けていません。読みやすく、戸籍や住民票のとおりに書くことが大切です。
相続関係説明図を出さないとどうなりますか?
記載例の注16によると、相続関係説明図を出した場合に、添付した戸籍の証明書の原本を登記の調査後に返してもらえます。出さない場合の扱いは、申請先の法務局に確かめてください。
法定相続情報一覧図があれば、相続関係説明図はいりませんか?
相続登記では、一覧図の写しを出すか法定相続情報番号を申請書に書くと、戸籍の証明書の添付に代えられます(記載例の注6)。ただし一覧図には遺産分割の結果は載らないので、誰が取得したかは遺産分割協議書で示します。
相続放棄をした人は、図にどう書きますか?
法務局の相続登記の記載例には、相続放棄をした人がいる場合の例はありません。申請先の法務局で確かめてください。なお、法定相続情報一覧図には、相続放棄をした人もそのまま記載されると案内されています。
法定相続情報一覧図の写しは有料ですか?
法務局は、認証文をつけた一覧図の写しを無料で交付するとしています。
出典(一次情報)
- 法務局:所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)記載例(R8.10.5以降に申請する場合・PDF)
- 法務局:登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編・PDF)
- 法務局:相続登記の登録免許税の免税措置について(法定相続分で全員が取得する記載例 001470844)
- 法務局:法定相続情報証明制度について
- 法務局:法定相続情報証明制度の具体的な手続について
- 法務局:主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例
いずれも2026年10月15日・16日に確認しました。
関連する解説
確認者:板野 克基(株式会社ブライトアセット 代表取締役) 最終更新日:2026年10月16日(条文はe-Gov法令検索で同日に確認) 編集方針と確認の手順