相続登記の登録免許税の計算|固定資産税評価額×0.4%・端数の処理・100万円以下の土地の免税

相続で不動産の名義を変えるときは、登録免許税を納めます。法務局の「登録免許税の計算」と国税庁の税額表にもとづき、計算の手順と端数の処理、計算例、令和9年3月31日までの免税の措置を解説します。

この記事の要点

  • 相続による所有権の移転登記の税率は、土地・建物とも1000分の4(0.4%)です(登録免許税法 別表第一、法務局)。
  • もとにする金額は、固定資産税の課税明細書の「価格」「評価額」で、「課税標準額」ではありません(法務局)。
  • 手順は「評価額の合計 → 1,000円未満切捨て → ×0.4% → 100円未満切捨て」。税額が1,000円未満なら1,000円です。
  • 相続で取得した土地で、価額が100万円以下のものなどは、令和9年3月31日まで免税の措置があります。申請書に条項を書かないと受けられません(法務局)。

1. 計算の手順

① 課税価格 = 不動産の価額(固定資産税の評価額)の合計 → 1,000円未満を切り捨て ② 登録免許税 = ① × 4/1000 → 100円未満を切り捨て ③ ②が1,000円未満なら 1,000円
  • 税率:相続(または法人の合併)による所有権の移転は1000分の4、贈与などその他の原因は1000分の20です(法務局「登録免許税の計算」3(2)、国税庁No.7191)。
  • 端数:課税価格は1,000円未満を切り捨て(価格が1,000円未満なら1,000円)、税額は100円未満を切り捨て、計算した額が1,000円未満なら1,000円です(法務局「登録免許税の計算」3(1)(3))。
  • 不動産が2つ以上:同じ申請書で申請するときは、それぞれの価格の合計額から1,000円未満を切り捨てます(同 計算例3の注)。

2. もとにする金額(課税価格)

法務局の説明では、課税標準は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格です。毎年届く固定資産課税明細書で、一般的に「価格」または「評価額」と書かれている金額で、「固定資産税課税標準額」ではありません。

  • 課税明細書をなくした場合は、市町村役場で発行する証明書(評価証明書など)で確かめられます。
  • 台帳に価格がない不動産は、登記官が認定した価額になります。管轄の登記所に問い合わせます。
  • どの年度の価格を使うかについて、登録免許税法の附則7条は、申請の日の属する年の前年12月31日現在またはその年の1月1日現在の台帳の価格をもとに政令で定める価額によることができる、としています。年度の変わり目(1月〜3月ごろ)に申請する場合は、どの年度の証明書を使うか、申請先の法務局に確かめると安心です。

3. 計算例

例1:評価額の合計が2,000万円(法務局の記載例と同じ金額)

課税価格 20,000,000円 登録免許税 20,000,000円 × 4/1000 = 80,000円

例2:土地と建物を同じ申請書で申請する

土地の評価額 12,345,678円 建物の評価額  3,456,789円 合計     15,802,467円 → 1,000円未満切捨て 15,802,000円(課税価格) 15,802,000円 × 4/1000 = 63,208円 → 100円未満切捨て 63,200円(登録免許税)

相続では土地も建物も税率が同じ1000分の4なので、合計してから計算できます。売買のように土地と建物で税率が違う場合は、それぞれに税率を掛けてから合計する計算になります(法務局「登録免許税の計算」計算例4)。

例3:共有で取得する

相続人2人がそれぞれ2分の1ずつ取得する場合でも、相続人全員で不動産の全体を取得するので、不動産全体の価額を課税価格にします(法務局の免税用の記載例(法定相続分での共有)でも、課税価額は不動産の価額で書かれています)。

4. 免税の措置(令和9年3月31日まで)

法務局の「相続登記の登録免許税の免税措置について」(更新日2026年4月1日)では、次の2つの措置が案内されています(租税特別措置法84条の2の2)。

(1) 登記の前に相続人が亡くなった場合

対象
相続で土地を取得した個人が、その相続登記を受ける前に亡くなった場合に、その個人を登記名義人とするための登記
期間
平成30年4月1日〜令和9年3月31日
申請書に書く文言
租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税

(2) 価額が100万円以下の土地

対象
相続による土地の所有権の移転登記(または表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存登記)で、不動産の価額が100万円以下の土地
期間
平成30年11月15日〜令和9年3月31日(保存登記は令和3年4月1日〜)
申請書に書く文言
租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税
  • (2)は、令和7年度の税制改正で全国の土地が対象になりました(法務局)。
  • 持分を取得する場合は、不動産全体の価額に持分の割合を掛けた額で100万円以下かどうかを見ます(同ページ※1)。
  • 対象は土地です。建物は対象になっていません。
  • 申請書に条項を書かないと、免税は受けられません(法務局)。

5. 申請書への書き方

すべての土地が免税の場合

登録免許税 租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税

免税になる場合は、課税価格の記載は不要です(記載例の注10)。

一部の土地だけが免税の場合

課税価格 金500万円 登録免許税 金2万円 一部の土地(東京都港区○○一丁目34番の土地)について租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税

法務局の記載例(一部の土地が免税対象の場合)では、免税になる土地の価格は課税価格に合算せず、不動産の表示のその土地の下にも「※租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」と書いています。

申請書全体の書き方は相続登記の申請書の書き方で解説しています。

6. 納め方

  • 収入印紙で納める場合は、印紙を貼った用紙(割印・消印はしない)を申請書と一緒につづります。現金で納めた場合は、領収証書を貼った用紙をつづります(記載例の注11)。
  • つづり目には契印をします。申請人が2人以上いる場合は、そのうちの1人の契印でかまいません(注11)。

次の一歩

よくある質問

相続登記の登録免許税は何%ですか?

相続による所有権の移転登記は、土地・建物とも1000分の4(0.4%)です(登録免許税法 別表第一、法務局「登録免許税の計算」、国税庁No.7191)。

課税明細書の「課税標準額」を使えばいいですか?

いいえ。法務局は、課税標準になるのは課税明細書で一般的に「価格」または「評価額」と書かれている金額で、「固定資産税課税標準額」ではないと説明しています。

登録免許税の最低額はいくらですか?

計算した税額が1,000円未満のときは1,000円です(法務局「登録免許税の計算」)。ただし、免税の措置に当たる場合は、条項を書けば課税されません。

建物も100万円以下なら免税ですか?

法務局が案内している免税の措置(租税特別措置法84条の2の2)の対象は土地です。建物は対象になっていません。

免税になるかどうか、誰が判断しますか?

申請書に条項を書いて申請し、登記所が審査します。要件は法務局の「相続登記の登録免許税の免税措置について」のページに載っています。分からないときは、申請先の法務局の窓口相談(予約制)などで確かめましょう。

出典(一次情報)

いずれも2026年10月15日・16日に確認しました。

この記事は、2026年10月16日時点の法令と公式の情報にもとづく一般的な説明で、法律・税務の助言ではありません。個別の事情(相続人の確定、期限の起算点、税額など)によって結論が変わることがあります。具体的な判断は、家庭裁判所・税務署・法務局の窓口、または弁護士・税理士・司法書士にご相談ください。

関連する解説

確認者:板野 克基(株式会社ブライトアセット 代表取締役) 最終更新日:2026年10月16日(条文はe-Gov法令検索で同日に確認) 編集方針と確認の手順